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香辛子=スーパーフード?

香辛子の栄養素は、香辛子のHPに下記の栄養成分表が載ってますが、健康機能に関係するその他の成分はどうなのか考えました。http://www.kougarashi.com/

まず、香辛子最大の特徴の、カプシノイド。脂肪酸酸化の上昇や褐色脂肪における熱産生、白色脂肪細胞のベージュ細胞化など、基礎代謝を上げるような作用が知られていて、サプリメントも市販されています。香辛子は4品種ありますが、論文(Biosci Biotechnol Biochem. 2020 Sep;84(9):1870-1885)によると、乾燥重量1gあたり10~22mgくらいのカプシノイドを含有しているようです。栄養素の分析結果で水分が85.8g/100gですから、少なめに見積もって乾燥前は果実1gあたり2~4mgくらいのカプシノイドがあることになります。香辛子の重さは5~10gくらいなので、香辛子1個あたりのカプシノイド量は10~40mgくらいという計算になります。カプシノイドの機能をヒトで調べた論文では(Am J Clin Nutr. 2012 Apr;95(4) : 845-850)、カプシノイドの一日当たり摂取量を9mgとしています。市販サプリメントの1日推奨量もこの結果から9mgに設定されています。このことからすると、香辛子を毎日1個食べればよいことになりますね。論文というのは、だいたい最高データを載せていることが多いですが、それでも2~3個食べれば十分ではないでしょうか。

次に注目の成分は食物繊維。生活習慣病の発症率や死亡率を下げることが論文で報告されているそうです(Lancet 2019; 393: 434─45.)。巷では美容に良いなどと言われていますね。とうがらしは食物繊維が多いことで知られていますが、あまりにも辛すぎて十分な量を食べることができないので、食物繊維を摂取する食材としては適していません。その点、香辛子はそのまま食べることができるので、食物繊維を摂るには適していそうです。ただ、上記の成分表では、香辛子100gあたりの食物繊維は4.1gなので、特別多いというわけではなさそうです。ちなみに文部科学省の食品成分データベースだと、生とうがらしの食物繊維は100gあたり10.3gと香辛子の倍以上の値です(乾燥品は同46.4g)。このあたりは、とうがらしの品種の違いなのでしょうか。香辛子を1~2個食べると0.4gくらいの食物繊維が摂れる計算です。厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020年版を見ると、一般的な日本人は一日あたり10gくらい食物繊維が不足しているようなので、香辛子だけでは足りませんが、香辛子を食べることで少しは不足分を補えます。食物繊維にもいろいろな種類があるので、香辛子のほかにもキノコ類や海藻類なども食べて食物繊維を摂るようにしましょう。

次の栄養成分はカロテノイドです。カロテノイドには似たような構造を持つ多くの化合物が多く含まれていて、赤や黄色といった色を呈します。天然の色素ですが、良く名前が知られているのはベータカロテンとかクリプトキサンチンなどです。香辛子の論文(上記)中のグラフから、カロテノイドとして乾燥重量1gあたり2mg程度含まれていることがわかります。カロテノイドの中の何なのかは記載されていませんが、日本食品標準成分表によると、生とうがらし中にはベータカロテンが多く含まれているようなので、香辛子のカロテノイドもベータカロテンが主であると予想されます。ベータカロテンはそれ自体で抗酸化作用がある上にビタミンAの前駆体として使われる重要な栄養素です。ベータカロテンの必要摂取量は設定されておらず、サプリメントの推奨量やビタミンA換算した数字などを参照すると、1日に10mg程度摂取すれば十分なようです。香辛子乾燥重量1gあたり2mgのカロテノイドですから、生の香辛子であればカプシノイドと同様に換算すれば、香辛子1個あたり1.4~2.8mgのカロテノイドが含まれていることになりますので、一日に香辛子1~2個で十分だと思われます。

日本食品標準成分表によると、とうがらしにはビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビタミンC、E、Kが含まれています。とうがらしは元々いろんな栄養素が含まれている食品ですが、辛味が強すぎてあまり注目されていません。辛味を抑えてそのまま食べられる香辛子は、栄養面からも優れた食品であると言えます。